WEB会議の定着に伴い、オフィスの会議室不足や音漏れによる情報漏洩リスクに頭を悩ませる企業が増えています。これらの課題を解決する手段として今、個室型の「WEB会議ブース」が急速に普及しています。
今回は、導入後に後悔しないための防音性や消防法などの「選定基準」を分かりやすく解説。さらに、BROS CUBEの「ZUM」を含む主要5製品を徹底比較し、自社に最適な1台の選び方を紹介します。

目次

WEB会議ブース(個別型)がオフィスに不可欠な3つの理由

オフィス回帰が進む一方で、クライアントやパートナー企業との「WEB会議」は完全に定着しました。しかし、従来のオフィス設計のままでは様々な歪みが生じています。今、多くの企業がWEB会議ブースを急ピッチで導入している背景には、以下の3つの差し迫った理由があります。

①「会議室難民」の解消とオフィス面積の最適化

「1人でWEB会議に参加するだけなのに、4人〜6人用の会議室を1人で占有してしまう」
これは、多くのオフィスで日常化している光景です。
本来、複数人でのブレインストーミングや対面での来客に使うべき会議室が「1人WEB会議」によって終日満室となり、オフィス全体の業務効率が著しく低下しています。WEB会議ブース(1人用)を導入すれば、1平方メートル強のデッドスペースを「個室会議室」に転換できます。限られたオフィス面積を有効活用し、慢性的な会議室不足をスマートに解消する最も手軽な解決策です。

② 情報漏洩リスク(セキュリティ)の徹底排除

オープンな執務スペースや、パーテーションで区切っただけの半個室スペースでのWEB会議には、重大なセキュリティリスクが潜んでいます。

  • 自社の新プロジェクトや未公開の財務情報
  • 取引先の個人情報や機密データ
  • 社内のデリケートな人事・評価に関する対話

これらが周囲に丸聞こえになる状態は、コンプライアンス(法令遵守)の観点から非常に危険です。特に、壁の薄い簡易スペースでは、こちらの声が漏れるだけでなく、マイクがオフィスの雑音を拾って相手方に不快感を与えるリスクもあります。完全に密閉されたWEB会議ブースは、社内外の機密情報を守り、安全なコミュニケーション環境を担保するために必要不可欠です。

③ 執務エリアの生産性向上と周囲へのストレス軽減

WEB会議を行う本人はもちろん、その「周囲で働く社員」の生産性も、WEB会議の定着によって脅かされています。
静かに集中してデスクワークを行いたいエリアのすぐ隣で、常に誰かがWEB会議で大声で話している状況は、周囲の社員にとって大きなストレス(聴覚的ノイズ)となります。作業効率の低下や、不要なイライラの原因になりかねません。
また、会議を行う本人にとっても、周囲の目が気になると「商談で一歩踏み込んだ提案がしにくい」「率直な意見交換がためらわれる」といった心理的ブレーキがかかります。会議ブースという「隔離された空間」を設けることは、オフィスの静寂(集中環境)を守ると同時に、WEB会議側の発言の質を高めるという、双方の生産性を引き上げる効果があります。

購買担当者が必ずチェックすべき「失敗しない4つの選定基準」

WEB会議ブースは、一度導入すると簡単には買い替えられない大型の設備投資です。「安さ」や「見た目の良さ」だけで選ぶと、「音漏れがひどくて使えない」「消防署から指導が入った」といった致命的な失敗に繋がりかねません。
選定時に必ずチェックすべき、プロの購買視点による4つの基準を解説します。

① 防音性能(遮音性):「デシベル(dB)の数値」を必ず確認する

単にカタログに「防音設計」と書かれているだけで判断するのは禁物です。客観的な指標である「遮音性能(何dBの音をカットできるか)」を数値で確認してください。

  • 選定の目安:遮音性能「-30dB」以上
    一般的に、オフィスの話し声(約60dB)をブースの壁が30dBカットしてくれれば、外に漏れる音は「ささやき声(約30dB)」程度になり、何を話しているか判別できなくなります。機密保持を最優先とする場合は、遮音等級(Dr値など)の試験データを公開しているメーカーや、実物で試聴できるショールームを持つメーカーを選ぶのが確実です。

② 消防法への対応:自動消火装置の設置が可能か

個室型のWEB会議ブースを導入する際、最も多くの企業が躓く(つまづく)のが「消防法」の壁です。天井が完全に閉まった密閉型のブースは、消防法上「一つの部屋」とみなされるケースが多いためです。

  • 【チェックポイント】
    スプリンクラーがない場所に設置する場合、ブース自体に「熱感知式の自動消火装置(サップスなど)」をオプションで搭載できる製品を選ぶ必要があります。また、使用している素材が「不燃・防炎仕様」であることも必須条件です。

導入前に、必ず製品の「消防法対応実績」を確認し、設置予定オフィスの図面を持って所轄の消防署へ事前相談を行ってください。

③ 換気性能と快適性:「換気風量(回転率)」が長時間の集中を左右する

1平方メートル前後の狭い密閉空間に人が入ると、わずか15分〜20分で内部のCO2(二酸化炭素)濃度が急上昇します。換気性能が低いブースは、内部がサウナのように暑くなったり、酸素濃度低下による眠気や頭痛を引き起こしたりして、社員に敬遠される「開かずの箱」になってしまいます。

  • 選定の目安:換気ファンが「1分間に数回以上」中の空気を入れ替える設計か
    製品スペックの「換気風量」や「静音換気ファン」の有無を確認してください。また、ファンの稼働音が静かで、WEB会議のマイクがその風切り音を拾わないかどうかも重要なチェックポイントです。

④ 設置・移設の手軽さ:キャスター付きか、解体・組立が容易か

オフィスのレイアウト変更や、将来的なオフィスの移転(退去)まで見据えて選ぶ必要があります。

  • チェックポイント
    本体の底面に「キャスター(およびアジャスター)」が付いている製品であれば、同じフロア内のちょっとした微調整や移動を、専門業者を呼ばずに社内スタッフだけで安全に行うことができます。また、オフィスの引っ越し時には「解体・再組立」がしやすい構造か、メーカーによる移設サポート体制が整っているかも、長期的な運用コストを抑えるために確認しておきたいポイントです。

【徹底比較】WEB会議ブースおすすめ主要5選

オフィスへの導入実績が豊富で、購買担当者からの支持が厚い主要なWEB会議ブース5製品を徹底比較します。それぞれのコンセプトや強み、導入時の注意点を客観的にまとめました。

① ZUM / BROS CUBE

「高い防音・換気スペック」と「納得のコストパフォーマンス」を両立した実力派モデル

  • 参考本体価格:税抜135万円~
  • サイズ展開: Sサイズ(1人用外寸:W1000×D1000×H2312mm)など

高遮音・高密閉設計の防音壁とガラスを採用し、WEB会議の音漏れ・外部ノイズを劇的にカットする、今もっとも注目されているスタイリッシュなブースです。

ここが強み!

ブース内の空気を最適に保つため、給気と排気を緻密に制御する換気設計を採用しています。給気・排気ファンによって内外の気圧差を抑え、30分ごとに5分間の自動リフレッシュを行うシステムを搭載。換気量はMODEL S(1人用)で0〜70㎥/h、MODEL Lで0〜218㎥/h(※参考値)を誇り、遠心ファンと吸音ダクトの採用により、高い換気性能と静音性を両立しています。

② TECOLO(テコロ) / サンワサプライ

手軽に「WEB会議専用スペース」を作れる、超軽量な簡易防音ブース

  • 参考本体価格: 約25万円〜
  • サイズ展開: 1人用(W1000×D1000×H1930mm)など

オフィス家具・周辺機器大手のサンワサプライが手掛ける、フェルトや樹脂素材、ダンボールなどを主材とした簡易個室ブースです。

ここが強み!

最大の特徴は「圧倒的な低コスト」と「手軽さ」です。スチール製の本格的なブースの半分以下の予算で導入でき、重量も非常に軽いため、大人2〜3人で1〜2時間程度あれば組み立てが完了します。天井部が空いている(または透過性素材である)ため、スプリンクラー等の消防法申請のハードルが極めて低いのもメリットです。

③ WORKPOD(ワークポッド) / コクヨ

オフィスの一等地にも調和する、圧倒的なデザイン性とビル管理性能

  • 参考本体価格: 約100万円〜
  • サイズ展開: 1人用(W1000×D1000×H2271mm)など

オフィスデザインのトレンドを牽引するコクヨが、空間との一体感を追求して開発したプレミアムなワークポッドです。

ここが強み!

オフィス家具トップメーカーならではの、インテリアに美しく馴染む豊富なカラーバリエーションと質感の高さが魅力です。業界トップクラスの「優れた空気循環システム(約40秒でブース内の空気を1回入れ替え)」を誇り、常に新鮮な空気の中で集中できます。ガラス面が広く、中に人が入っているかどうかが外から視覚的に分かりやすいのも、オフィス内での運用効率を高めます。

④ テレキューブ(TELECUBE)

「駅ナカ」でお馴染み、抜群の知名度と防音・耐震基準を誇るパイオニア

  • 参考本体価格: 約100万円〜
  • サイズ展開: 1人用(W1200×D1200×H2315mm)など

駅の構内や商業施設などで誰もが一度は見かけたことがある、個室型ワークブースの代名詞とも言える製品です。

ここが強み!

パブリックスペース(公共エリア)での過酷な使用環境に耐えうるよう設計されているため、防音性能・堅牢性・耐震性能は全製品の中でも最高峰です。「外の雑音を一切遮断したい」「絶対に会話の内容を漏らしたくない」という最上級のセキュリティを求める個室に最適です。消防法対応のノウハウも豊富で、ビルオーナーや消防署への申請が非常にスムーズに進みます。

⑤Kolo(コロ) / プラス(PLUS)

人間工学に基づいた内装設計で、1日中快適に過ごせる定番ブース

  • 参考本体価格: 約90万円〜
  • サイズ展開: Kolo Solo(W1000×D1000×H2250mm)など

世界的なデザイン賞を受賞するなど、スタイリッシュな北欧デザインと日本のオフィス基準を融合させたイトーキの人気シリーズです。

ここが強み!

人感センサー連動のLED照明や、マイクが風切り音を拾いにくい超静音換気ファンを標準装備。内装のデスク高さや背もたれの位置などが、人間工学に基づいて非常に細かく設計されており、「長時間こもって作業をしても全く疲れない」と社員からの評価が高いブースです。スプリンクラー不要で設置できる自動消火装置のパッケージプランも充実しています。

WEB会議ブース導入までの「3つのステップ」

個室型のWEB会議ブースは、配送されてその日にすぐ使えるものではありません。「ビル管理会社」「所轄の消防署」との調整を怠ると、最悪の場合「納品されたのに設置許可が下りない」という事態に陥ります。稟議通過から設置完了まで、踏むべき3つのステップを時系列で解説します。

ステップ1:【導入1ヶ月前】ビル管理会社・オーナーへの事前確認と規約チェック

本体の購入手続きを進める前に、まずは入居しているオフィスのビル管理会社(またはオーナー)へ個室ブース設置の可否を確認します。

  • 床荷重(耐荷重)の確認
    本格的なスチール製のブースは、1台あたり200kg〜350kg前後の重量があります。ビルの床がその重量に耐えられるか(一般的なオフィスビルは300kg〜500kg/㎡程度)の確認が必要です。
  • 搬入経路の確保
    ブースのガラスパネルやフレームなどの大型部材が、エレベーターやオフィスの入り口ドア、廊下の曲がり角を通れるかを確認します。
  • レイアウトと原状回復の確認
    設置場所を変更する際、床へのアンカー固定(ネジ留め)が必要な製品の場合、退去時の原状回復費用に関わるため、事前に工法の許可をとっておく必要があります。

ステップ2:【導入3週間前】所轄消防署への事前相談と申請準備

天井が完全に閉まった密閉型のブースは、消防法上で「一つの部屋(防火対象物)」とみなされ、オフィス全体の防災設備に影響を与えるケースがほとんどです。

  • 消防署の予防課へ相談
    設置場所の「オフィス全体の図面」と、導入予定の「ブースのカタログ・仕様書(自動消火装置の有無がわかるもの)」を持参し、地元の所轄消防署へ事前相談に行きます。
  • 必要書類の提出
    基本的には設置後に「防火対象物使用開始届」や「防火対象物改造届」などの書類提出が求められます。メーカー側が消防提出用の図面や実例データを用意してくれることが多いため、メーカーと連携して書類を揃えましょう。

ステップ3:【導入1〜2週間前】配線・電源の確保と施工会社の選定・手配

設置日に向けて、ブースを稼働させるためのインフラ環境を社内で整えます。

  • 電源(コンセント)の確保
    WEB会議ブースは、内部の照明や換気ファン、PC充電用に家庭用と同じ「100Vコンセント」が1〜2口必要です。設置場所の近くに空きコンセントがあるか、配線ルートをどう確保するかを社内で決めておきます。
  • 通信環境(LAN)の検討
    ブース内で快適にWEB会議を行うため、オフィスのWi-Fi電波がしっかり届く場所かを確認します。防音壁によって電波が弱まる可能性がある場合は、ブース内に有線LANケーブルを引き込めるよう、社内のIT・システム部門に配線工事を依頼しておきます。
  • 施工会社の手配
    前述の通り、製品によっては本体の販売のみで、現場での組み立てや電気の結線作業(配線)を請け負っていないメーカーもあります。その場合は、自社の指定工務店やオフィス内装業者、電気工事会社へ事前に作業の見積もりを取り、搬入日に合わせて職人を手配しておく必要があります。

まとめ:自社に最適な1台を選ぶための最終チェック

WEB会議ブースの導入は、単なる設備の追加ではなく、オフィスの生産性とセキュリティを劇的に向上させる投資です。選定時には、初期コストだけでなく、防音や換気などの実用スペック、そして消防法や施工手順といった導入プロセスまで見据えることが失敗を防ぐ鍵となります。自社の予算や設置環境に合わせた最適な1台を見極め、誰もが快適に、安心してWEB会議に臨める次世代のオフィス環境を整えましょう。


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