フリーアドレスを導入したものの、「Web会議の場所がない」「周囲の雑音が気になる」といった声に頭を悩ませていませんか?だからといって、個室ブースを直感や社員数だけで導入すると、予約争奪戦が起きたり無駄なコストになったりと失敗しがちです。
今回は、実際の出社率や会議頻度から自社に必要な個室ブースの「最適台数」を割り出す計算式と、導入リスクを最小限に抑えるポイントを分かりやすく解説します。
なぜ「社員数=ブース台数」ではないのか?

「フリーアドレスを導入するから、社員数の〇%分だけ個室ブースを置けばいいだろう」
「とりあえず会議室が埋まったとき用に、社内に数台置いておけば足りるのでは?」
このように、直感や社員数だけの割合で個室ブースの設置台数を決めてしまうと、運用開始後にほぼ確実にトラブルが発生します。
よくある2つの失敗パターン
失敗パターン①:台数が不足し、「予約争奪戦」で業務効率が低下
社員数に対してブースが足りないと、1日中予約が埋まり「Web会議をしたいのにブースに入れない」状態に陥ります。結果として自席でWeb会議をせざるを得なくなり、周囲の雑音が入ったり、機密情報が漏れたり、フロア全体が騒々しくなったりと、フリーアドレス化のメリットが打ち消されてしまいます。
失敗パターン②:過剰設置により、コストとスペースを圧迫
逆に「念のため」と多めに設置しすぎると、利用率の低いブースがただの「高額な箱」としてオフィスを圧迫します。個室ブースは1台あたり一定の床面積とコストを要するため、使われないブースの存在は経営層からの厳しい指摘につながりかねません。
最適台数を左右する「3つの主要変数」
「社員数」だけでは適切な台数を割り出せない理由は、現代の働き方において社員1人ひとりの動きが異なるためです。最適台数を算出するには、以下の3つの変数を掛け合わせて考える必要があります。
実際の「出社率」(リモートワーク併用状況)
在籍社員が100名であっても、ハイブリッドワークで日々の平均出社率が60%であれば、オフィスにいるのは60名です。ベースとなる「オフィス内に実際にいる人数」の把握が前提となります。
1人あたりの「1日平均Web会議時間」
「1日1時間のWeb会議が1件だけ」の社員と、「終日ほぼWeb商談」の営業担当では、ブースの必要度が全く異なります。自社の働き方における平均的なWeb会議時間を把握する必要があります。
時間帯による「ピーク時の重複率」
Web会議は社内・社外問わず「10時〜11時」「13時〜15時」などの特定の時間帯に集中する傾向があります。1日の総会議時間だけを見て台数を決めると、このピークタイムに対応できずパンクしてしまいます。
つまり、ブースの最適台数は「人数の割合」ではなく、「実出社人数 × Web会議の集中度」から逆算しなければならないのです。
【実践】個室ブースの「最適台数」を導き出す計算式

では、実際に自社に必要な個室ブースの台数はどのように計算すればよいのでしょうか。以下の公式を使うことで、感覚に頼らない論理的な必要台数を導き出すことができます。
最適台数を算出する基本公式

この公式を構成する4つの要素について、詳しく解説します。
①出社人数(人)
在籍社員数ではなく、「最大出社率」または「平均出社率」から算出した実際にオフィスにいる人数を入力します。(例:社員100名・出社率60%の場合 = 60人)
②1人あたりの1日平均Web会議時間(時間)
社員1人が1日にオフィスでWeb会議を行う平均時間です。社内アンケートやGoogleカレンダー等の実績値から算出するのが理想です。(例:1.5時間)
③ブース1台あたりの実質稼働上限時間(時間)
1日の定時(8時間)フルで稼働させる計算は現実的ではありません。移動や入れ替えの時間、予約の空き時間を考慮し、1日あたり5〜6時間(稼働率60〜75%)を上限として設定します。
④ピーク安全率(1.2〜1.3)
Web会議は「10時〜11時」「13時〜15時」などの特定の時間帯に集中します。平準化された平均値のまま計算するとピーク時にパンクするため、1.2〜1.3倍の安全率(ピーク係数)を掛け合わせます。
【シミュレーション】社員数100名(出社率60%)の企業の場合
実際に具体的な数字をあてはめて計算してみましょう。
(例)企業の前提条件
- 在籍社員数: 100名
- 平均出社率: 60%(=出社人数:60名)
- 1人あたりの平均Web会議時間: 1.5時間/日
- ブース1台の上限稼働時間: 6時間/日(稼働率75%)
- ピーク安全率: 1.25
計算のステップ
60名×1.5時間= 90時間
オフィス全体で、1日に計90時間分のWeb会議が発生しています。
90時間÷6時間(1台の稼働上限)= 15台
終日まんべんなく会議が分散した場合、理論上は15台が必要です。
15台×1.25(ピーク安全率) = 18.75台
結論: この企業の場合、ピーク時の予約溢れを防ぎスムーズに運用するための最適台数は「18〜19台」となります。
「そんなに設置スペースがない…」と思った場合の調整法
試算結果を見て「自社のオフィスに18台も置くスペースも予算もない」と感じた方も多いのではないでしょうか。その場合は、以下の運用上の調整を行うことで、必要なブース台数自体を削減することが可能です。
- Web会議の運用ルールを設ける:「社内同士の10分以内のミーティングは自席(イヤホン着用)で行う」など、ブース利用の対象を絞る。
- 1枠の予約上限を設定する:1回の利用を最大45分〜60分までに制限し、回転率を上げる。
このように、計算式で「理論上の最適値」を出した上で、予算やオフィス空間の制限に合わせて運用ルールでチューニングしていくのが、失敗しない導入計画のコツです。
部署ごとの「職種比率」で補正するテクニック

前章でご紹介した公式でオフィス全体の基本台数は算出できますが、ここでひとつ大きな落とし穴があります。それは、「すべての部署が同じ頻度でWeb会議をしているわけではない」という点です。
全社平均のデータだけで台数を決めてしまうと、「営業フロアのブースはいつも満席なのに、開発フロアのブースは空きが目立つ」といったアンバランスが発生します。
精度をさらに高めるために、自社の「職種比率」による補正テクニックを取り入れましょう。
職種別・Web会議依存度の目安
まずは、社内の各部署がどのくらいWeb会議(および個室空間)を必要としているかを分類します。
| 職種カテゴリ | 主な該当部署 | Web会議頻度 | ブース利用の主な目的 | 補正の方向性 |
| 高依存グループ | インサイドセールス フィールドセールス カスタマーサポート | 非常に高い (1日3〜5h以上) | ・商談、顧客対応 ・周囲への静寂配慮 ・機密情報の保護 | 【プラス補正】 計算値の1.3〜1.5倍を目安に多め配置 |
| 中依存グループ | 企画、マーケティング 人事・採用 広報、エージェント | 中程度 (1日1.5〜3h) | ・1on1ミーティング ・採用面接 ・社外パートナー打ち合わせ | 【標準】 基本公式の算出値をそのまま適用 |
| 低依存(集中型) | 開発(エンジニア) デザイナー 経理、法務、総務 | 低い (1日1h未満) | ・社内朝会 ・ディープワーク(超集中作業) ・重要書類の確認 | 【マイナス補正】 Web会議用は少なめ。 作業用ブースとして別枠検討 |
部署構成に合わせた「重み付け計算」の例
たとえば、同じ「社員数100名」の企業でも、組織の構成によって必要な台数は大きく変わります。
- パターンA:営業主体の企業(営業7割・バックオフィス3割)
- Web会議の総時間が大幅に跳ね上がるため、基本公式で出た台数に「1.2〜1.3倍」のプラス補正が必要。
- パターンB:開発主体の企業(エンジニア7割・営業3割)
- Web会議目的のブースは減らし(0.7〜0.8倍にマイナス補正)、代わりに静かに作業できる「集中作業用スペース」の確保に予算を充てるのが効果的。
【簡単3ステップ】職種補正を取り入れる手順
- 部署ごとの「在籍人数」と「平均Web会議時間」を整理する
全社一括ではなく、「営業部:〇名・〇時間」「開発部:〇名・〇時間」と切り分けます。 - 部署ごとに必要台数を仮算出する
第2章の公式を部署単位であてはめ、それぞれのベース台数を計算します。 - フロアマップ(動線)に合わせて配置を調整する
算出された台数をもとに、「営業エリアの近くに多めに配置する」「静かな開発エリアには集中的に作業できるソロブースを設置する」など、社内動線に落とし込みます。
このように「職種による偏り」を考慮して補正を行うことで、導入後の「使われないブース」や「特定の部署だけが困る現象」を完璧に防ぐことができます。
台数不足・過剰を防ぐ!スモールスタートと拡張のポイント

計算式と職種補正で「理論上の最適台数」が導き出せても、「本当にこの台数でピッタリ収まるだろうか…」と不安が残る担当者様も多いのではないでしょうか。
オフィス環境や社員の働き方は日々変化します。導入時の不確実性を極限まで減らし、コストリスクを抑えるための鉄則が「スモールスタート&段階的拡張」です。
ステップ1:計算値の「60〜70%」から導入を始める
最初から試算した上限の台数をすべて買い揃える必要はありません。まずは「最適台数の60〜70%」を目安に設置することをおすすめします。
- 例:最適台数が10台と出た場合
- 最初は6〜7台で運用をスタート。
- 実際の稼働状況(予約システム上の利用率や時間帯別の空き状況)を1〜2ヶ月間モニタリングします。
実際に運用してみると、「意外とWeb会議が短時間で終わっている」「特定の曜日だけ極端に混む」といったリアルなデータが見えてきます。不足が明白になってから追加導入(拡張)する方が、過剰投資のリスクをゼロに抑えられます。
ステップ2:レイアウト変更に対応できる「可動式ブース」を選ぶ
スモールスタートと拡張を実現するために不可欠なのが、個室ブースの選定です。
造作壁による会議室の増設や、床・天井に固定するタイプの防音ブースの場合、あとから「追加する」「設置場所を移動する」となると、その都度オフィスの原状回復工事や解体・施工費用が発生してしまいます。
そこで有効なのが、キャスター付きや組み立て分解が容易な「ユニット型(可動式)WEB会議ブース」です。
可動式ブース(BROS CUBE等)を選ぶメリット
- 増設がスムーズ:利用状況に合わせて、後から1台単位で手軽に追加設置ができる。
- 移動が自由自在:部署移動やレイアウト変更に合わせて、オフィスの別のエリアへ簡単に移設可能。
- 移転時も無駄にならない:将来オフィスを縮小・拡大移転する場合でも、新オフィスへそのまま解体・持設・再組立てして使い回せる。
ステップ3:運用の「ルール見直し」で実質的なキャパシティを増やす
「台数が少し足りないかもしれない」と感じた場合でも、すぐに買い足す前に運用ルールのチューニングを行うことで、実質的な稼働キャパシティを引き上げることができます。
- 1回の予約上限を「45分〜60分」に制限する(だらだら利用を防止)
- 開始10分前の自動キャンセル機能を設ける(「カラ予約」の防止)
- 「集中作業」目的の利用は、混雑時間帯(10〜11時/13〜15時)を除外する
このように、「適切な製品選び」と「スモールスタートでのデータ検証」を組み合わせることで、投資対効果(ROI)を最大限に高めた個室ブース導入が可能になります。
まとめ:データに基づく台数選定で快適なオフィスを

「予約が取れない」「誰も使わない」という失敗を防ぐには、自社の働き方に合わせたデータの数値化と、職種ごとの偏りを考慮した補正が欠かせません。
理論上の最適値を算出したあとは、無理に全台揃えようとせず、少なさめの導入から運用のチューニングを重ねていく姿勢が大切です。オフィスの変化や拡張に柔軟に対応できる製品と運用ルールを組み合わせ、自社にとってストレスのない快適なWeb会議環境を整えていきましょう。
自社に必要なブース台数の無料シミュレーションや、レイアウト・導入計画のご相談を承り中です。
設置スペースにお悩みの方も、まずはBROS CUBEへお気軽にお問い合わせください。
